好きなことをして生きていくために

二児の父、起業してみて分かったこと

妄想は現実になるorならない?

それはいつもの帰り道のことだった。

 

あれっ、こんな場所にギャラリーなんてあったかなぁ。

 

大通りから一本裏の道に入り、さらに少し歩いた先にひっそりと佇む一軒のギャラリー。日が沈み辺りが暗くなる頃、ギャラリーの中だけが明るく照らされている。

 

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ぼくがギャラリーに近づくと中から1人の男が出てきてこちらに向かい歩いてきた。

 

「やあ、よく来てくれたね。ずっとキミが来るのを待っていたんだ」

 

その男は3年後の自分だった。

 

目の前には確かに自分がいる。ぼくはその奇妙な状況を全く理解できないでいたが、その男が3年後の自分であるということだけは、はっきりと認識していた。

 

「5冊目の出版を記念して今日から個展をやっているんだ」

 

3年後の自分はさらに話を続ける。

 

「ほらっ、キミがよく知っている仲間も個展に来てくれてるよ」

 

そう言うと彼は、ぼくをギャラリーの中に招き入れてくれた。

 

ギャラリーの中に入ると友人やお世話になった人、自分にとって大切な人たちが展示を見に来てくれていた。じっくり写真を見てくれている人もいれば、これまで出版した本を手に取ってくれている人もいる。

 

ぼくは嬉しくなってみんなに話しかけたが、ここでは自分の声も相手に聞こえていなければ姿も見えていないらしい。

 

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これは一体・・・

 

そんなぼくの横で3年後の自分が静かに話し始めた。

 

「今日ぼくは3年前に立てた目標を実現した。キミを呼んだのは、ぼくがどうやってこの目標を実現させたのか、どうしてもキミに伝えたかったんだ」

 

そう言うと彼は3年後の未来から今日までのことを詳細に話してくれた。

 

昨日は何をした。

一昨日は何をした。

1週間前は何をした。

1ヶ月前は・・・

1年前は・・・

2年前は・・・

 

そして3年前は・・・

 

「今回で5冊目の出版になるのだけれど、やっぱり1冊目を出すことが本当に大変だった。本を書き上げてからは書店周りもたくさんやったし、自分の本を置いてくれそうな場所には挨拶して置かせてもらった。そこでまた会う人たちからパワーをもらって次に進むこともできたんだ。最初に出す本は絶対に重版させたいと思っていたからね」

 

それで重版はできたの?

ぼくは恐る恐る聞いてみた。

 

「重版できたよ。きっと今キミが思っているよりも未来はずっと素敵なものになる。だから大丈夫。そのまま続けていけばいい。当たり前のことを当たり前にやることが、どれだけ大変なことかはキミも良く知っていると思うけれど、何事も続けることができなければ大きな成果を手にすることはできないからね」

 

さすがは3年後の自分。

今のぼくが何を思い考えているのかもお見通しってわけかぁ。

 

「今キミはこつこつブログを書いているけれど、どんなに忙しくなってもそれを止めなかった。そうやって毎日書いてきた蓄積があったから1冊目の本が売れた勢いに乗って、2冊目、3冊目とすぐに本を書くことができたんだ。本屋に3冊同時に平積みになるなんて、激アツでしょ!」

 

ああ、目の前にいる自分が神に思える、笑

 

ぼくが3年後の自分にうるうる励まされていると、見知らぬ青年がひとり近づいてきて静かに話しはじめた。

 

『僕は27のときに自由な時間をつくるため、ひとり起業しました。ただ起業して半年後には廃業寸前まで追い込まれ、毎日胃がキリキリと痛み、夜も眠れず、会社を潰すことも覚悟しました。その後、いくつもの幸運に恵まれ、3年ほど我武者羅に働いたことで事業は軌道に乗りました。しかし、ある程度自由な時間ができると今度は孤独との戦いでした。そのとき心の支えとなってくれたのが貴方の本でした。いつもどこでも本の中にいる貴方に会いに行き自分の話をひたすらに聞いてもらいました。その本の中で友となった貴方に今日こうしてお会いすることができて本当に嬉しく思っています』

 

見知らぬ青年は3年後の自分にそう言って礼を告げると、ぼくにも軽く会釈をして去っていった。彼にはどうやらぼくの姿が見えていたらしい。

 

誰にも自分の姿が見えていないと緩んでいた背筋がピンとした。

 

「彼にはキミの姿が見えていたみたいだね。そういえばどこか昔のキミに似ていたような気もする」

 

3年後の自分がこちらを見ていたずらな笑みを浮かべる。

 

ああ、確かになぁと色々思い返していると、今度はすたすたと女性がこちらに向かい歩いてきた。キレイな人だなぁと思い自然と背筋もピンとする。

 

ただ話しかけようとしても言葉を発することができない。

喉元でロックがかかったように声が出ないのだ。

 

それにそもそも彼女にはぼくの姿が見えていないようだ。

さっきの青年には見えていたのになんで!

 

まあ、ほんと世の中うまくできてる、笑

 

そんなぼくのすぐ横で彼女は3年後の自分に堰を切ったように話し始めた。

 

『わたしは1年前まで家事に育児に仕事に忙しく、いつも時間に追われ生きていました。子供の前では子供のことだけを見ていようと思っていても、つい今日残してきた仕事や明日のことを考え始めてしまい、目の前にある幸せをちゃんと見ることができませんでした。だから子供には随分と寂しい思いをさせてきたと思います。とにかくやらなければいけないことが多すぎて、いつも頭はあれこれ考えている状態で目の前のことに集中することができませんでした。わたし本当に今を生きていなかったんですねぇ。ただそんなときにアキラさんの本と出会い、どうやって自分の時間を作っていくか、さりげない日常の中にある幸せ、自分にとって大切なことを大切に生きるということ、それはもう数え切れないくらい・・・今の自分にとって大切なことを思い出させてくれました。いつも答えは自分の中にあったんですよね。これまで忙しく生きていたのも自分はそうしなきゃって勝手に思い込んでいただけなんだと分かりました』

 

彼女はそう一気に話すと、3年後の自分に深々とお辞儀をしてギャラリーの奥へと消えていった。

 

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なんか凄いな3年後の自分・・・

そんな彼がぼくを見て話しはじめた。

 

「実はね、ちょうど3年前の今日、ぼくはある妄想をした。その妄想は夢のようにぼんやりとしたものであったけれど、ぼくはそれをブログに書き出してみた。自分の妄想をブログに書くなんて、恥ずかしいやら怖いやらで、やめとこうかなとも思ったんだけど書いてみることにしたんだ」

 

なんで?

 

「それはキミが今までやってきたことが、そうであったからだよ」

 

う〜ん、それってどういうこと?

 

「よし、笑。じゃあ詳しく説明しよう!今キミが独立して好きな仕事ができているのも、自由な時間を作れたことも、それによって写真と出会い、個展を開催することができるようになったのも、全部こんなふうになれたらいいなぁという妄想から始まっているよね。その妄想が生まれたときキミは何をした?」

 

手帳に妄想を書き記した・・・かな?

 

「そう、いつもキミは妄想を書き記していたんだ。そうやって具体的に将来をイメージして、将来からの逆算で今何をやるべきか考えてきた」

 

おお、確かにそうだね。

 

「だけど、手帳に書いた妄想は誰も知ることがない。年が変わって違う手帳になってしまうと書き記した妄想は自分ですら目にしなくなってしまう。だけどブログならどうだろう。1人でも2人でもブログを見てくれた人と自分の妄想を共有することになる。それはそれでプレッシャーになるけれど、まったくの無名である自分のブログを見てくれて、内容まで覚えてくれている人って、きっと自分を応援してくれてる人なんだよね。そんな大切な人にリアルに会って自分の妄想が共有されていることに気がつくと背筋がピンとするんだ。やっぱり有言実行したいじゃない。だから妄想は手帳にも書くけど、ブログにも書いてみようと思ったんだ」

 

確かに、そういうプレッシャーは好きだね。

今日帰ったら妄想ブログ書いてみるよ!

 

「うん、頼むよ。その小さな行動の積み重ねが今日のぼくを作ったんだから」

 

ぼくは3年後の自分としっかり握手をして、そのギャラリーで見た景色を目に焼き付けた。

 

そしてギャラリーを出たところで振り返ってみると、それまでぼくに気づいていないと思っていた友人や知人仲間たち、自分にとって大切な人たちがギャラリーの前でぼくに手を振っている。

 

あれっ、本当は見えていたのかな、笑

 

ぼくは少し恥ずかしくなった。

まあ、みんな楽しそうだからいっかぁ。

 

よし!今日は帰ったら直ぐに書こう。

 

妄想も書こう。

 

ブログに書こう。

 

生まれたものが消えてしまう前に。

 

ジュルルル・・・

チュルルルル・・・

 

ハッとした、ぼくは口元の水分をすすり、ふと目を覚ました。

 

よかった、キーボードには垂れてないやぁ。

 

そしてまた書きはじめる。

毎日は単純な行動の積み重ね。

 

ただ、ぼくはそんな日常をとても好いている。

だから今日も明日もこうして相変わらず書き続けていく。

 

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