TIME IS LIFE

撮ること・書くこと・歩くこと

今日の日が思い出になる前に

きっともう何年か経ってから・・・

 

懐かしく思い出す「おもいで」がある。

 

それは家族みんなで夕食を食べている時であったり、子供たちと公園で走り回ったり、家で遊んでいる時であったり、いってきますの背中を見送る時であったり、なかなか寝付けない我が子を胸に抱く今この時なんだろうと思う。

 

どれもきっともう何年か経つと・・・

 

懐かしく思い出す「おもいで」になる。

 

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家族で過ごすことのできる時間

 

先日、父の誕生日を祝うため実家に帰省した。

 

正月休みを利用して久しぶりに家族5人が顔をそろえる。

両親と妹2人みんなそろって夕食を食べられる機会なんて滅多にない。

 

年末に家族それぞれの予定を聞くと年明けに1日だけみんな集まれる日があり、ぼくはその日をめがけ群馬の実家へ帰省した。

 

30代半ばになり、今でこそ実家で過ごせる時間は大切にしたいと思っているが、昔からそうであったわけではない。家族のことが嫌いになったことは1度もないが、どうも家族に対して素直になれない自分がいた。

 

ぼくが小学1年のときに上の妹が生まれ、下の妹は小学3年のときに生まれた。6歳まで一人っ子として育てられ両親の愛情を独占してきた自分にとって、その愛情が分散して幼い妹たちの方へ集中することは仕方がないと分かっていても、やはり子供心に寂しく思っていた。

 

だから少年時代は両親の気を引くために、ふてくされたり反抗的な態度をとることも多かった。とくに家族で夕食を食べ終えたあと、リビングで父や母と楽しそうにあそぶ妹たちの姿は自分の胸をざわつかせた。

 

ぼくはそんな家族を横目に自分の部屋にこもる時間が多くなっていった。

 

そうやって過ごしてるうちに中学生となり部活も忙しくなって、夕食すら家族みんなで食べることがなくなってしまった。

 

いつか思い出となる日常

 

家族に対して素直になれず過ごしてきた10代から20代前半。

 

今もこうしてブログに書き、頭の中を整理しているということは、自分の中にまだ何か引っかかる思いもあるのだろう。

 

ただ、いくら考えたところで過去をやり直すことはできない。

 

しかし、過去をやり直すことはできないが今から家族との「おもいで」を新たに上書きしていくことならできるのではないだろうか。

 

そう考えられるようになったのも妻と結婚して、娘が生まれて、自分が親になってから・・・少しずつ。

 

これからは親孝行をしたい。

 

そんな思いが芽生え、ここ数年は父や母を交え家族と過ごす時間を大切にしてきた。

 

家族と過ごす時間を大切にする。

 

そんなこと当たり前過ぎて笑われてしまうかもしれないが、当たり前にいてくれる家族という存在だからこそ意識して大切にしたい。意識していないと自分はつい家族という存在に甘え、関係をおろそかにしてしまいがちになる。

 

そんな自分にとって実家に帰省して父や母、家族みんなで食事ができる時間は本当に大切な時間なのだ。

 

父の誕生日を祝い、母の手料理をつまみにグラスを傾ける家族団欒の時間。

 

もう何本目かわからない缶ビールを父のグラスにぼんやりと注ぐ。

 

「久々に家族5人そろったね」

 

ぼくがそう言うと父はこちらを見て・・・

 

「もう、お前たちは3歳までに一生分の親孝行をしてくれたよ」

 

そう言って、もう何本目かわからない缶ビールをぼくのグラスに注いでくれた。

 

その横では20代半ばになった妹たちがわいわい互いのことを話している。

それを眺める父の横顔は20年前となにも変わらない。

 

リビングで過ごす家族団欒の時間、20年前のさりげない日常の1コマ、妹たちと遊ぶ父の横顔。

 

それを横目にふてくされ部屋にこもっていく自分は・・・もういない。

 

20年の時が経ち、さりげない日常の1コマは、懐かしい「おもいで」に変わっていった。 

 

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今日の日が思い出になる前に

 

今日あたり前に過ごしている日常。

それはやがて「おもいで」に変わっていく。

 

いつか「おもいで」に変わる今日の日を自分はどう生きているだろうか。

いつか「おもいで」に変わってしまう今この時をどう過ごしているだろうか。

 

いま当たり前にある日常はやがて「おもいで」に変わっていく。

 

むかし当たり前にあった日常が今は「おもいで」に変わっている。

 

その「おもいで」がどんなものであろうと過去の出来事を変えることはできない。

しかし、過去の出来事に対して新たな意味付けをすることで、これまで抱えてきた「おもいで」の意味を変えていくことはできるのではないだろうか。

 

ぼくの場合、10代から20代前半まで家族に対して素直になれず長い反抗期を過ごしてきた。しかし、自分にも家族ができ子供も生まれ親になったことで、これからはできる限り「親孝行をしたい」という気持ちが芽生えてきた。

 

むかしは強がりふてくされ素直になれなかった自分がいまさら・・・

 

そんなどこか恥ずかしい気持ちもなかったわけではないが、いま大切にしたいと思うことは大切にしていこうと決めたのだ。

 

今日の日が思い出になる前に・・・

 

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