TIME IS LIFE

撮ること・書くこと・歩くこと

青春18きっぷ東北の旅:後編

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7泊8日のひとり旅が終わった。

 

その足で山形にある妻の実家へ向かい、そこから義父母の還暦を祝う東北家族旅行へ。そんな東北の旅をすべて終え、約2週間ぶりに自宅へ戻ってきた。

 

ああ、やっぱり家が一番だなぁと心底思う。

 

娘たちはお気に入りのおもちゃで遊びはじめ、妻は洗濯機を回しながら食事の支度をしてくれている。ぼくは旅の荷解きを終えるとソファーにもたれ とびっきり大きな背伸びをしながら、日常へ戻ってこられた喜びを噛みしめていた。

 

普段は近すぎて見えなかったことが旅に出たことで距離がひらき、俯瞰できる。そこで見えるのは自分が抱えている大切なことと、そうではないこと。

 

旅は自分を映し出す鏡のようだ。

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〜はじめに〜

ひとり旅の投稿をやめた理由

 

たしか4日目までSNS上に書いていた旅日記。

だけどそれ以降は書くのをやめた。

 

単純にスマホをいじっている時間がもったいないと思ったのだ。

 

基本的に移動は青春18きっぷを使った鈍行列車の旅。1日5時間も6時間も電車にゆられているので、書く時間はたくさんある。

 

だけど下を向きスマホばかり見ていると、あの車窓から見える海も山も、いつもと違う街並みや素敵な出会いも、この今というひとときを楽しむために作ったこの時間すら無かったことにしてしまいそうで・・・

 

もっとこの旅を味わいたいと思い、過去のことを振り返る時間は一旦脇に置いて、今という瞬間を思いっきり楽しむことに決めた。要するに今を感じること以外、手放せることは手放していこうと思ったのだ。

 

そんな思いから途中で旅日記を書くことをやめたので、「あれ⁉︎」と思った方もいるかもしれませんが、ぼくは元気にやっています。それではいつもの日常へ戻ってきましたので、ひとり旅の続きを少し振り返ってみようと思います。

 ※前編はこちらになります↓↓↓

〜ひとり旅3日目〜

実際に行ってみるということ

 

この日は東日本大震災をきっかけに知った宮城県女川町と宮城県気仙沼市を散策。

 

2日目の夜に女川へ泊まってから半日ほどの滞在。ニュースで見聞きすることはあっても、ぼくはこの街のことを何も知らない。もちろんたった半日滞在しただけで何かが分かるわけではないけれど、実際に行ってみたことでリアルな体験を見聞きすることができた。

 

本当に小さな町だけど一体感というか、「ここから皆でやってやるぞー」っていうエネルギーを感じた。今回のひとり旅で1番好きになった街。次は家族も連れて行きたい、これからもっと素敵な街になっていくに違いない。

f:id:akira-wakasugi:20180806114005j:image※何もないところから街づくりがはじまった。


f:id:akira-wakasugi:20180806114012j:imagef:id:akira-wakasugi:20180806114103j:image※壁新聞が伝えたのは情報だけじゃなかったと思う、生きる力みたいなものを感じた。

 

f:id:akira-wakasugi:20180806114146j:image※力強い言葉、街の中に横断幕が・・・

 

f:id:akira-wakasugi:20180806114238j:image ※女川駅展望台からの眺望。

その日の午後からは女川を出発して気仙沼へ。運行を再開した気仙沼線はBRT(バス高速輸送システム)で電車の代わりにもともと線路だったところをバス専用道路にして、一般道と合わせ運行している。

 

ちなみにBRT(バス高速輸送システム)という存在を知ったのも、この旅をはじめてから。そのバスに乗って気仙沼へ着くまでの2時間半、本当にいろんなものを見た。

f:id:akira-wakasugi:20180806121614j:image※前谷地駅で石巻線から気仙沼線BRT(バス高速輸送システム)へ乗り換え。


f:id:akira-wakasugi:20180806121629j:image※もともと線路だったところを舗装してバス専用道路へ。


f:id:akira-wakasugi:20180806121619j:image※これもバス停ではなく駅です。


f:id:akira-wakasugi:20180806121635j:image※すごい高さの防波堤だった、遠目にはよく分からないけど実際見るとハンパない。


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※いたるところに「津波到達地点」という表示が・・・ 

他にも・・・ここまで来るのか!っていうくらいの丘の上までも津波到達地点という看板がいくつもあったり、田園風景の中に使われなくなった線路や踏切、ゼロから新しく作られた街並みが目立った。ダンプカーや工事車両が多くなると地図を見なくても海に近づいているのが分かるほど、物理的な復興へ向け建設が続いている。

 

地元の方にとっては生活の足・移動手段であるバスも、自分にとっては震災の爪痕を知る貴重な体験となった。

 

その後、気仙沼で夕食を食べてから岩手県奥州市まで移動してこの日はおしまい。

 

※女川→前谷地→気仙沼→水沢:移動距離約210㎞

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〜ひとり旅4日目〜

小さなマイルール

 

この日は世界遺産の平泉を散策。

中尊寺と毛越寺を中心に半日ほど歩いた。

 

その後、夕方から鈍行列車にゆられ盛岡を経由して八戸、さらにそこから下北半島最後の駅である大湊まで移動。この日は八戸まで行ければいいと思っていたけれど、「なんかいけそうだな」っていう勢いで下北半島最後の駅まで突っ走った。

 

この「なんかいけそうだな」っていう、その時の気持ちを大事にしたかったので宿の予約は当日の朝か電車の待ち時間などを使い、その時の気分でどこまで行くか決めるようにした。

 

ちなみに夜遅くまで移動していることが多いので、夕食は簡単に済ませてしまう。だからせめて朝食くらいゆっくり味わおうと思い、地元の料理を出してくれる朝食付きの宿に泊まることだけはこだわるようにした。

 

その時の気分や勢いを大事にするため宿は当日に決める。食事は宿の朝食にこだわる。この2つは今回のひとり旅を通して小さくも大切なマイルールであった。

 

※水沢→平泉→盛岡→八戸→大湊:移動距離約330㎞

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 〜ひとり旅5日目〜

自分を縛っているのは自分しかいない

 

この旅の唯一の目的地「津軽海峡」へ向かう。

 

目的地といってもそこで何がしたいというわけではなく、ただ本州の最北を見てみたかった。これまでも日本最北端の宗谷岬や最南端の波照間島に行って感じていることだが、あの最果て感がたまらないのだ。

 

当初は津軽海峡まで行ったら引き返して青森方面へ向かおうと考えていたが、地図を眺めていたら北海道まで行けそうな気がしてきて・・・少し調べてみると今いる下北半島の大間町からフェリーが出ていることも分かった。

 

そこで前日の夜から急いでフェリーの時間やバスの時間を調べ、翌朝は下北半島最北にある下北駅から路線バスにゆられること2時間。当初は東北をのんびり青春18きっぷで旅しようと思っていたが予定変更。本州最北端の大間町から津軽海峡フェリーで函館へ渡った。

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家族にも友人にも「青春18きっぷで東北を旅してくる」と言ってしまった手前、フェリーに乗って北海道へ行くのはいかがなものか・・・という気持ちもあったが、結局は自分の言動を正当化するために自分を自分で縛っていただけだということに気づかされた。

 

なぜなら、このことで迷惑する人は誰もいないだろう。

だったら自分を縛っているのは自分しかいないのだ。

 

※大湊→下北→大間→函館:移動距離約110㎞

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〜ひとり旅6日目〜

自分のタイミングで進もう

 

函館の街は朝から曇っていた。

たぶん晴れていたら函館にもう1泊していただろう。

 

前日は下北半島から厚い雲に追いかけられるように函館へ到着し、暗くなる前に急ぎ友人に教えてもらっていた元町周辺を散策した。翌日は晴れたら函館の街を散策して、曇っていたら青森へ行こうとだけ決めていての・・・曇り空・・・

 

これが青空だったらなぁと思うシーンはたくさんあったけど、それもタイミング。ぼくは被写体を待っていることができない。待っていれば思い描いたシーンも訪れるかもしれないが、そのときそこに自分の心が伴っていなければ、写真を撮っていても楽しくもなんともない。

 

だから待つことはしない。

まぁ待っても5分くらいだと思う。

 

というわけで朝一番に五稜郭だけ見て、そのまま駅へ向かい、青春18きっぷのオプション券(新幹線しか走っていない青函トンネルを通過するため)を購入し、いざ青森へ!

f:id:akira-wakasugi:20180808220225j:image※五稜郭タワー、本当に朝一で行くと誰もいない。

青森の奥津軽いまべつ駅に到着してから津軽線へ乗り換えて津軽半島最北端の三厩駅へ。1日5本しか電車がないのでそのまま折り返しに乗ろうと駅をウロウロしていると「竜飛岬行きバス」の時刻表を発見!

f:id:akira-wakasugi:20180808220653j:image※三厩駅の時刻表、これを見たすぐ後に14時50分発のバスに飛び乗った!

時計を見ると、あと2分で出発。これは行くしかない!と思いながらも、1日5本しかない津軽線に乗り遅れるのはマズイと思い、運転手さんに終電(17時46分)までに戻ってこれるかだけは確認してバスへ乗り込んだ。

f:id:akira-wakasugi:20180808221505j:image※行けると思っていなかった竜飛岬、このあと赤いボタンを押して『津軽海峡冬景色』が流れて興奮。

ああ、さっきまで函館にいたのが信じられない・・・

どこに行くかっていうのも大事なんだけど、そのシチュエーション、あとやっぱり天気、この青空が感動を何倍も高めてくれる。あのとき自分のタイミングで動いてよかった。

 

このあと無事に津軽線の最終に乗り青森市内まで戻ってこの日はおしまい。

 

※函館→五稜郭→木古内→奥津軽いまべつ→津軽二股→三厩→竜飛崎→蟹田→青森:移動距離約230㎞

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〜ひとり旅7日目〜

自分の欲しい体験は何か?

 

この日は青森から秋田まで行った。

 

青森から秋田までは最短ルートである奥羽本線を使えば3時間半ほどで着く。しかし、この旅は目的地に早く着くことが目的ではない。目的地はプロセスをつくる「きっかけ」で、目的はそのプロセスを楽しむことにある。

 

だからその「楽しむ」を目的として約7時間半かけ、日本海沿いを走る五能線に乗って秋田を目指すことにした。そこで少し迷ったのが五能線の普通車に乗るか、『リゾートしらかみ』という観光列車に乗るかということ。

 

結論から話すと普通車に乗って秋田まで行った。

 

観光列車に乗れば乗り換えで待つこともなく、約5時間半で秋田まで着くこともできるが、ぼくにとっては乗り換えで2時間も駅の外を見て周れるということが普通車に乗る決め手となった。

 

確かに観光列車は見たかんじ座席も設備も快適そうで良いのだけれど、ぼくは便利さや快適さよりもその地域のことを肌で感じる体験が欲しかった。だから2時間ある待ち時間も街の定食屋に入ってみたり、そこで聞いた情報をもとに近所のおすすめスポットへ行ってみたり、本当に充実した時間となった。

f:id:akira-wakasugi:20180808223114j:image※500円程で食べられる定食屋からの眺め、このあと向こう側に見える大岩まで散策。

 

そして五能線の車窓から見た景色、窓を開けたときに感じる海の匂い。そこに何かがあるわけではないけれど、何もないことが自分の頭も心もクリアにしてくれた。

 

自分の欲しい体験はこういうことだった。

 

※青森→深浦→秋田:移動距離約260㎞

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〜ひとり旅8日目〜

終わりがあるから歩き出せる

 

ひとり旅の最終日。

 

秋田から妻の実家がある鶴岡までの約2時間半、この旅であったことをぼんやりと思い出す。いろんな場所に行けたことはもちろん、電車で相席になった方との何気ない会話や宿や地元のお店で会う方々と交わすほんの一言二言が、旅の大切な思い出となっていることに気づく。

 

旅に出ると色々なことを吸収しようと心にアンテナが立つ、だけどその旅先も誰かにとってはいつもの日常であり、車窓から見える景色だって見慣れたもの。いつもあると思っていることには関心が向かない。

 

つまり「いつもある=終わらない」という感覚を持ってしまうのだ。

 

終わらないということは、いつでもあるという感覚になり、なかなか重い腰は上がらない。その点、旅には必ず終わりがやって来るから「今しかない」と思って積極的な行動につながる。

 

そんな旅の終わりはいつも少し寂しい。だけど終わりがあるから今という時間を大切に思い、その心のフィルターを通して見る世界は輝いて見えるのだろう。

 

だから旅人の心を持って、またいつもの日常を歩いていきたい。いつかその いつもの日常が終わってしまう そのときまで。

 

※秋田→酒田→鶴岡:移動距離約140㎞

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 ※ひとり旅で途中下車した駅(バス停等含む)

渋谷→黒磯→福島→仙台→松島海岸→石巻→女川→前谷地→気仙沼→水沢→平泉→盛岡→八戸→大湊→下北→大間→函館→五稜郭→木古内→奥津軽いまべつ→津軽二股→三厩→竜飛崎→蟹田→青森→深浦→秋田→酒田→鶴岡:7泊8日ひとり旅☆総移動距離約1720㎞

 

⭐︎今日も最後までお読みいただきありがとうございました。最高のひとり旅となりました!この記事がお役に立ちましたらコメントやシェア、いいねをしていただけると「また来週も書くぞー」と気合が入りますp(^_^)q

 

 

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