2018年4月1日配信。
「Starry Future」インタビュー掲載記事より(一部抜粋)。
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自由な時間への渇望、その先に見つけた宝探し | Starryfuture
iPhone写真家と会社経営という2足のわらじを履き、愛する奥様とふたりの娘様との時間を大切にしながら穏やかな毎日を送る若杉さん。しかし、今のライフスタイルに辿り着く迄にはたくさんの試練や葛藤がありました。
時間に渇望していた料理人時代
18歳、大学進学のため上京。生活費を稼ぐため中華料理店でバイトを始める。食費も節約できるくらいの気持ちで入った料理の世界だったが、そこで出会った料理長に憧れ、大学卒業後は料理の道へ。がむしゃらに頑張った結果、しばらくして“未来の巨匠”としてテレビにも取り上げられ、周りからも注目を浴びる。しかし、自分の心が満たされることはなかった。朝から晩まで働き詰めの日々。取材に対応する時間があったら休みたい、自分の時間が欲しい。自由な時間を渇望していたのだ。
それでも料理は好きだった。立ち上げから携わった店舗を離れ新たなスタートを切る。数々の店を食べ歩き、自分が惚れ込んだ二子玉川のカフェダイニングに直談判し、シェフ兼店長として働き出した。しかし、店長になったことで店舗経営の難しさに直面する。二子玉川という立地柄、家賃などの固定費が高く、売上は増えていたが採算が取れない。大好きなこの店をなんとかしたいとスタッフ総出で尽力するもやむなく閉店。またもや一からのスタートとなる。
自由な時間と好きを両立するためのチャレンジ
この頃から、いつかは独立したいという思いを具体的に考えるようになった。
しかし、料理だけでは厳しいという現実を目の当たりにし、料理をしながら別に収入を得られる方法はないか模索していたところ、料理人とビルオーナーをしながら好きなこともして自由に生きている人の存在を知る。『よし、不動産で収入を得ながら好きな仕事をしよう』初めは本で学ぶ程度だったが、どんどん不動産の面白さにのめり込み、本格的に不動産投資を学ぶためファイナンシャルアカデミーの講座に通う。
まずは経験を積むためと、不動産業界に転職することを決意。未経験ながらもなんとか地元の不動産会社に就職。飲食業とは違い決まった時間に退社することができ、やればやるだけお給料がもらえる仕事は楽しかった。その頃、カフェダイニング時代に出会った彼女とも結婚をして順調な第二の人生を走り出したかに見えた。
ところが、時同じくして会社の方針が変わり、終わりの見えないサービス残業が課されるようになる。自分の仕事はとっくに終わっているのに、上司が帰るまで帰れない。そんな不毛な拘束時間に疲弊しながら、なんとかこの状況を脱け出す方法はないか、と模索し続けていたところ『いつかは独立したい』という思いに再び火がついた。
すぐさま起業支援を行なっている行政書士に相談をすると、話しも盛り上がりその場で会社を創ることが決まった。急な展開でもちろん不安はあったが、たとえダメだったとしても運転資金の尽きる半年間でやめれば大きなダメージにはならない。もうすぐ第一子が生まれる。『今しかない。やってだめなら、やり直そう』そう腹をくくった。
起業当初は、売上げも上がらず日に日に貯金が目減りしてく恐怖と戦いながら必死に試行錯誤する中、シニア向け案件にターゲットを絞ったことで、会社は軌道に乗り始める。
自由な時間を手に入れたはずが…
しかし、一度味わったお金がなくなる恐怖を拭うことができず、常に働いていないと落ち着かない。時間を取り戻すために起業したはずが、働き詰めの日々が3年程続く。そんなある日、奥様から娘さんと公園に行ってほしいと言われる。久々に娘さんと2人きりで過ごす時間の中で、会社を軌道に乗せ、売上を上げることに必死で、大切な家族と過ごす時間すら失っていたことに気付く。
そこで、できるだけ効率化を図り、アウトソーシングできるものは手放し、働き方を変えることで、ようやく念願だった自由な時間を手に入れたのだ。
しかし、自由な時間を手に入れたら、自ずとまた自分のやりたいこともわかるだろうと思っていたが、いざ自由な時間を手に入れても、自分のやりたいことがわからない。家族と過ごす幸せな時間を噛み締めつつも、もやもやとした思いが胸の中でうごめく。空いた時間は散歩をしたり、カフェで本を読んだり、一人自分と向き合う日々。
そんな時、何気なく散歩中に撮った写真をインスタに載せたところ、友人だけでなく知らない人達からも反応があった。料理人時代に感じた表現することへの喜びを思い出したのだ。そこから、散歩しながら写真を撮るのが日課になる。
iPhone写真家になるきっかけとなった写真
やりたいことの中にあった共通点
ちょうどその頃、画家をされている妹さんの展示会に遊び行く。個展といえば、一部の人だけができるものだと思っていたが、ギャラリーによっては誰でも借りられるし、お金もそんなにかからないらしい。奥様が第二子の出産を控えていたこともあり、生まれる前に個展をやってみよう!ということで原宿のデザインフェスタギャラリーで初の個展を開催する。
個展には場所柄、たくさんの人が訪れてくれた。そして、自分の作品を見てくれた人との会話を通して、心の分かち合いを感じたのだ。その時間がとても心地よく、『もっと人と心の交流をしたい』と思うようになった。
それが原動力となり、その後も個展の開催を続け、iPhone写真家としての活動が始まる。そして不動産というライスワークとiPhone写真家というライフワークの両立という今のライフスタイルに辿り着いたのだ。
不動産と写真家という一見全く異なる仕事ではあるが、両方に共通点があると若杉さんはいう。それが『宝探し』である。
少年時代、虫取りが好きで、どこにいるのかワクワクドキドキしながらクワガタなどを探しにいっていた。不動産も掘り出し物の物件をみつけるのが楽しい、散歩をしながら見つけた素敵な風景を写真に撮ることも楽しい。
ワクワク、ドキドキしながら宝物を探す。少年時代に好きだったことが、形を変え、大人になっても自分の心を突き動かし続けていたのだ。
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