自分が如何に未熟であるか・・・
そんな出来事を経験する度に「ああ、しっかり考えて行動しなくては・・・」と思うわけである。そういった出来事は日常茶飯事なのだが、その度にくよくよと「ああすれば良かった、こうすれば良かった」と常に考えを巡らせている。
つい先日も自分の未熟さを痛感する出来事があった。
その反省の意味も込め今日ここで振り返ってみたいと思う。
プルルルルルッ!
後ろのポケットで携帯が鳴っている。
時計に目を移すと5分後には電車に乗って次の仕事に向かう時間が迫っていた。
よし、駅まで歩きながら話すことにしよう!
そう思い、後ろのポケットからもぞもぞと携帯を取り出して電話に出た。
水道局:『お世話になりますぅ〜、◯◯市水道局ですが、若杉アキラさんのお電話でよろしいでしょうか?』
若杉:「はい、そうです」
それは直ぐに水漏れの件だとわかった。先日、新しく入った入居者さんから水漏れの報告があり、入居して直ぐのことだったので自社負担で修理する話を進めていた。
水道局:『若杉様、いま少しお時間よろしいでしょうか?」
若杉:「はい、少し急いでいるので2・3分なら大丈夫ですが・・・」
水道局:『では、またこちらから改めましょうか?』
若杉:「ああ、大丈夫ですよ。ご用件をお願いします」
水道局:『◯◯マンション水漏れの件で御社の負担額が確定しましたので請求書をお送りしたいのですが、ご住所お伺いしてもよろしいでしょうか?」
ぼくは駅まで早足で向かいながら住所を伝える。しかし、風の音がビュービューうるさく水道局のおじさんに話がなかなか伝わらない。
水道局:『すいません、もう一度お願いします』
若杉:「はい、いきますよ。〇〇市〇〇区・・・」
水道局:『すいません、もう一度お願いします』
若杉:「はい、ではゆっくり言いますよ。◯、◯、市、◯、◯、区・・・」
水道局:『すいません、〇〇市の後が聞き取れなくて、もう一度お願いします』
若杉:「えっ、あぁ〜、はい、〇〇市〇〇区〇〇・・・」
水道局:『すいません、〇〇区であっていますか?』
若杉:「いや、〇〇区ですよ」
水道局:『すいません、〇〇区の後の番地をお願いします』
そんなやりとりを7・8回繰り返してやっと住所を伝えることができた。
水道局:『では、こちらのご住所に請求書をお送りいたします。今回は不足の事態でしたので、正規の料金から割引した額をご請求させていただきます』
若杉:「ありがとうございます。ちなみに請求書にはその明細も付いているんですよね?」
水道局:『いやぁ、割引に関しての表記はないと思いますよ』
若杉:「えっ、それじゃあ元々どれくらい水が漏れていたかも分からないし、どれくらい割引になったのかも分からなくないですか?」
水道局:『えー、ただ今回は割り引かせていただきますので・・・』
若杉:「いや、だからその請求に対しての根拠を示して欲しいんですよ!いくら使って、どんな原因があって、いくら割り引かれたか、支払う側には当然知る権利がありますよね!!」
なかなか話の伝わらない状況にイライラが募り、ぼくはついキツイ口調で言ってしまった。それは水道代がどうこうというよりも、いま電話越しに話す水道局のおじさんを何か言葉で打ち負かしてやりたいという、本当に子供じみたことをしてしまった。
水道局:『では、お宅が水漏れに対して、どこの業者に頼み、どんな修理をしたのかを教えてください。それを元に上と検討させていただきますので!』
自分のイライラが伝染しておじさんの口調もこわばっている。
若杉:「業者は◯◯、修理内容は◯◯です。検討のほど宜しくお願い致します!」
そして電話を切ると急いで階段を駆け上げり電車に飛び乗った。
フゥーーー・・・
まだ心臓がバクバクしている。
なんであんなことを言ってしまったのだろう。
そもそも水漏れに関する水道代は全額うちで出すつもりでいたのに・・・
金額もおそらく数千円になると聞いていたから、水道局や入居者さんと細かい話し合いをしている時間がもったいないと思い自社で全額負担することにした。
もちろん数千円を失うのは嫌だったが、その話し合いをする時間をつくる方が自分にとって大きな損失だし嫌だと思った。だからぼくはそのお金を払うことで自分の時間を買ったのだ。
それなのに・・・
「はい、わかりました」と言えば終わった話を自らほじくり返し、ややこしくしてしまった。
一息ついて少し考えれば自分の言動がどう作用するか想像に難くないことでも、時間に追われ忙しくイライラしてしまうと、つい感情的な反応をしてしまうことがある。
あぁ、まだまだ自分は未熟だ。
ただ未熟であるからこそ失敗して試行錯誤をつづけ成長するチャンスも生まれる。
はじめから良く出来た人間は失敗こそ少ないかもしれないが試行錯誤するチャンスも少ない。
まあ、今日は一先ずそう考えて寝ることにしよう。
自分が如何に未熟であるか・・・
その未熟さを痛感した時こそ、自分を成長させるチャンスであることを信じて。
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