人は良くも悪くも他人からの影響を受けます。
他人が欲したモノやコトは自分も欲しくなる。「みんながやるから、自分もやっておこう」そういった欲望の伝染は、いくら気をつけても全てを防ぐことはできません。しかし、いま使っている時間が「自分基準なのか、他人基準なのか」見極めることで、他人の欲望から自分の時間を取り戻すこともできるのです。社会的成功を求めて、気づいたこと
社会的な地位や名誉、ブランドやステータスといった「社会的成功」と言われるものの多くは、他人の欲望が社会に広く伝染してつくられた価値観、社会的な欲望です。
こうした他人の欲望に自分が動かされているとき、それは大きなストレスとなります。本当は望んでいないことを、自分に課しているのですから当然です。心と行動の不一致は大きなストレスになるのです。
だからもし、あなたが今大きなストレスを感じているとしたら、他人の欲望に感染しているのかもしれません。ぼく自身、他人の欲望に感染して、自分が本当は何を求めているのか分からなくなったことがあります。
起業したての頃は、お金を稼いで会社を大きくすることが家族の幸せに直結すると考えていました。しかし、お金を稼げば稼ぐほど仕事は忙しくなり、会社は上手くいっているのに、心は満たされない。家には寝に帰るだけ、土日も仕事漬けで、会社設立の年に生まれた娘の成長をずいぶんと見逃してしまいました。
そんなある日、ふだん温和な妻が、日曜も仕事へ向かおうとするぼくを玄関先で呼び止め言いました。「家族のために仕事を頑張ってくれているのは分かるけど、少しでいいから娘と遊ぶ時間もつくってほしい」と…。目に涙を浮かべ訴えかけてきました。
この時にやっと、自分が求めてきた「社会的成功」は他人の欲望であったことに気づかされました。
自分基準と他人基準の見極めかた
人間が社会的な生き物である以上、いくら気をつけても欲望の伝染を完全には防ぐことができません。SNSのタイムラインを眺めて、一瞬、「羨ましい」と思うことは誰にでもあるでしょう。
大切なことはそれが、自分基準なのか、他人基準なのか、見極めることです。
例えば、同僚が出世するのを見て、劣等感から「あの地位を手に入れれば、自分もひとかどの人物になれるはず」といった動機で出世競争をはじめたら、他人基準になっている可能性が高い。一方で純粋に「あの仕事をやってみたい」「楽しそう、面白そうだからやってみよう」といったポジティブでワクワクした気持ちなら、同じ出世競争をしていたとしても、それは自分基準であるといえるでしょう。
それに「羨ましい」と思うことの全てが他人基準というわけではありません。他人を見ることで、もともと自分にあった「憧れや理想」といった自分基準の欲望に気づくことも多いのです。
しかし、ただ単に他人のことを「羨ましい」と思い、手に入れた欲望はすぐに飽きてしまいます。流行などはその主たるものでしょう。多くの人が他人基準の欲望に振り回され、手に入れても直ぐに飽きることの繰り返しで、社会に欲望は広がっていくのです。
働きたくないわけでも、スローライフしたいわけでもない、ただ自分の速度で進みたいだけ
本当に求めているものは、手に入れてもすぐに飽きることはありません。
そう考えていくと、飽きずにコツコツやっていることは、まさに自分基準。もっと上手くなりたいと思ったり、純粋に向上心が持てるものはコツコツと続けられます。その活動自体を楽しめれば、心をすり減らしながら続ける必要はなく、自分が楽しめる速度で歩いたり、走ったり、立ち止まったり、自分の好きなように進んでいけばいいのです。
そのためには先ず、立ち止まり、ひと息ついてみることです。「なぜ、これに時間を使っているのだろう」「そもそも、この時間いるのかな」と、自分の使っている時間を吟味するために、ひと息ついて静かな余白時間をつくらなければ、心の声は聞こえてこないのです。
先に進むのは、ひと息ついてからでも遅くはありません。とにかく早くゴールを目指そうと、起業して3年、ほぼ週7日労働を課していた自分に、ぼくは勇気を持って少しずつ働く時間を減らすように命じました。そうやって少しずつ、少しずつ速度を落として、今は週3日労働でやっています。
「よく週3日労働でやっていけますね」と言われますが、週4日、週2日などいろいろ試した結果、自分にとってベストな働き方を見つけ出しました。そこで最大の成果を残せるように考え行動して、会社も家計もやりくりしています。働く時間を増やせばもっとお金を稼げるのかもしれませんが、いまの自分と家族にとってはこの週3日働くスタイルがちょうどいいのです。
会社の規模や社会的地位で成功をはかるとすれば、起業して8年でどんどん後続に追い抜かれていきました。しかし、ぼくは速度を落としたことで、家族と過ごす時間を増やせたり、自分が無邪気に打ち込める写真で個展を開いたり、こうして文章を書く時間が持てることを、心から嬉しく、大切に思っています。
それは他人から見たら全く価値のない時間かもしれません。
だけど、それでいいんです。
なぜなら、自分にとって価値ある時間を過ごしているのですから。
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