自分の時間がない。
毎日朝から晩まで働きづめの日々・・・
脱サラして起業したものの最初の3年はほとんど休みなく朝から晩まで働きづめの毎日でした。それこそ会社員時代よりも労働時間は長くなり、家族と過ごす時間も減り、子育ても妻に任せっきりで、自分の時間を取り戻すために起業したはずが逆に自分の時間を減らすことになってしまいました。
こんなはずじゃなかった・・・
ぼくは会社を辞め、上司から逃れ、誰からも管理されない起業という道を選びました。これで自分の時間を取り戻すことができるぞ、そんな希望を胸に仕事へ邁進する日々。しかし、会社が成長していくにつれて仕事はどんどん忙しくなり、いつしかそのスパイラルから抜け出せなくなっていたのです。
「もっと家のことも考えてね・・・」
そう、さりげなく妻に言われた一言が胸に突き刺さり、このままじゃまずい・・・と本気で考えるようになりました。 結局、起業しても会社員でも本気で自分の時間を作ろうと思わなければ、いつまで経っても作ることはできないのです。
そんなことを痛感して以来、自分の時間を取り戻すため、今日までに取り組んできたことを振り返ってみようと思います。
1.労働時間を短くする
労働時間を短くすると仕事が重要なことに絞られます。
時間がなければ、仕事の本質を見極め、本当に重要な仕事に取り組まざるを得ません。多くの仕事には期限があり、ぼくたちはその期限に間に合わすよう仕事を進めています。なので締め切りが短ければ、その期限に間に合わすよう集中し、頭をフル回転させ仕事をするようになるのです。
ただ、これにはちょっとした罠があって・・・いくら労働時間を短く制限しても、実質的に働ける時間を持て余してしまうと、「まだ時間があるから働こう」とせっかく作った時間も結局は仕事をすることで消えてしまいます。
ぼくは長い間この罠から抜け出すことができませんでした。なぜなら、たとえ非生産的な労働であったとしても得られる僅かな収入増に自分の頑張りや満足感を見出していたからです。
そんな経験から、労働時間を実際に短くするためには、あらかじめ『自分の時間』を手帳に書き込んでおくことが必要だと気づいたのです。
手帳に書き込む時間は、家族と過ごす時間でも、ひとり考えごとをする時間でも、なんでもOKです。自分にとって心地よく、心がリフレッシュできる時間、つまり仕事以外の時間を何に使うのか先に考え予定を組んでおくのです。
今日は友人と飲みに行くから絶対に残業しないで帰る!
そんなノリで良いのです。
人間、仕事だけが人生ではありません。
毎日忙しく流され、つい仕事時間を延長してしまったとき、ぼくはこの言葉を思い出し、我に帰るようにしています。
自分は何のために働いているのか?
いつもこの問いに対し納得できる行動を選択したいと思うのです。
2.断り上手になる
NOと主張することでYESを引き寄せることができます。
全ての誘いにYESと答えていたら時間がいくらあっても足りません。YESと答え自分の時間を差し出すことは命を差し出すことと同じです。それくらい誰にとっても時間は貴重なものなのです。
だから基本NOで答えるスタンスを身につける必要があります。
例えば、あっ、なんだろうと思いLINEを開き、気乗りしない飲み会やイベントの誘いだと瞬時に心がモヤつきます。この時点で自分の心はそこへ行きたくないとハッキリ示しているので・・・
『お誘いありがとうございます。お声がけいただき大変嬉しく思っています。ただ、あいにくその日は先約があり伺うことができません。当日は皆様にとって素敵な時間になることを願っています』
・・・というように、お礼と感謝を忘れずに伝えれば、誘ってくれた相手との関係を壊すこともないでしょう。いつだって先約には『自分の時間』があるということは前項に書いた通りです。
ここで、つい申し訳ないという気持ちから曖昧な返事になってしまい、決断を先延ばしにすることは誘ってくれた相手の時間を奪うことにもなりますので注意が必要です。
行くなら行く、行かないなら行かない、とハッキリ伝えながらも角を立てずに相手を敬い、しなやかに断ることが断り上手の秘訣です。
ただ、そんな自分の考え方や思っていることを常日頃から周囲の人たちと共有していれば、モヤッとするような誘い自体がなくなり、いつだってハッピーな誘いが届くようになるのです。
3.お金を時間に投資する
お金を時間に投資すると自分の時間を増やすことができます。
例えば、お金を払い仕事をアウトソーシングすることも『自分の時間』への投資と言えるでしょう。その一例として、うちの会社に入る電話は全てコールセンターで受けています。もちろん自分の携帯へ転送して受ければお金はかかりませんが、それはしません。
なぜなら、ぼくは集中して作業に取り組める時間が欲しいからです。
そのために自分で受けることもできる電話対応にお金を払いコールセンターで受けているのです。すべては集中できる時間を確保し、そこでさらに成果を上げるための投資です。
このお金を時間に投資するという考えは仕事だけにとどまりません。日常生活のあらゆることに応用することができるのです。
例えば、日用品や夕食のおかずをスーパーへ買い出しに行くことをやめ、できる限りネット注文に切り替えてみます。移動も含め1回の買い出しに平均1時間使ったとして、それが週3日で3時間、1ヶ月4週だとして計12時間、この時間を毎月買い出しに使っていることになります。
それをネット注文に切り替えて移動時間や隙間時間で終えてしまえば、単純計算で毎月12時間を手に入れることができます。
妻の話によると「ネットの方が高い、生鮮食品は自分の目で見て選びたい」ということでスーパーへ買い出しへ行くママさんたちも多いようですが、自分の時間を確保するための投資と考え、スーパーとネットで実際どれくらい金額的に違うのか大まかにでも算出し、家計と相談してみる価値はあるのではないでしょうか。
一気にすべてを変えなくても、変えられるところから、少しずつ試し、変える変えないを検討していけばいいのです。もちろん個々人で費用対効果を考えなければいけませんが、日常のさまざまな場面において、お金を時間に投資することで『自分の時間』を取り戻すことができるのです。
4.なんでも楽しむ工夫をする
いま目の前にある時間を『自分の時間』として楽しむことはできないでしょうか。
ぼくは自分1人の移動を目的とする車の運転が好きではありません。目的地に着くまでの間、自分の身を拘束されるのが嫌なのです。
だけど仕事やその他移動で運転をしなければいけない時もあります。だからせっかくならその時間もどうにかして楽しい時間に変えたい。
ただ、いま目の前で起こっている出来事や状態を変えるには少し時間がかかるかもしれません。しかし、その出来事や状態をどう捉え、どう行動していくかは今すぐ自分の選択で変えていくことができます。
そんなふうに考え、最近車でひとり移動をする時は、好きな曲をかけてガッツリ歌うかラジオをじっくり聴くようになりました。それはどちらも自分にとっては車の中だからこそできることです。
きちんと窓を閉めさえすればガッツリ歌っても外に声は聞こえません(まだ外からジロジロ見られたことはない)。これがなかなか気持ち良くひとりカラオケに行ったみたいでストレス発散になるのです。
そしてもう1つ、ぼくは普段ラジオを聴きません。車に乗るとき以外全く聴くことのないラジオは、車に乗るからこそ聴くことのできる体験なのです。
テレビと違い映像のない世界、ラジオパーソナリティーの方は音声だけでいかにリスナーを楽しませるか、ということを考えています。それは文章の場合も一緒です。いかにして文字を読者の心に届けるか、ということを考えているからです。
そんな視点でラジオを聴けるようになってから運転中が学びの時間になりました。
自分の時間を取り戻すことは、目の前にある時間を削ったり、断ったり、別の時間に取り替えることだけではありません。
いま目の前にある出来事や状態を主体的に捉え、その時間を『自分の時間』に変えていくことで、今スグにでも自分の時間を取り戻すことができます。そして、たとえそれが今すぐ上手く機能しなくても、目の前のことを面白おかしく楽しむ工夫をしていくことで、自分に見える現実は確実に変化していくものなのです。
5.時間へ愛と感謝を表明する
時間はたっぷりとあります。
今はそうと思えないかもしれませんが事実時間はたっぷりとあります。もし、どうしてもそう思えない場合は時間はたっぷりあると仮定してみてください。
学生時代は部活動にバイト、料理人時代は毎日15時間半労働、営業マン時代は残業地獄という具合に、ぼくにとって時間は常に不足している状態。だから常に時間を求めてきました。
しかし、そうやって追いかければ追いかけるほど時間はどこまでも逃げていき、いつまで経っても満足な時間を手に入れることはできず、ぼくは常に時間が足りないと思っていました。
しかし、周りの素敵な大人たちを見てみると、あきらかに自分より忙しいであろう人たちから、「忙しい」という言葉を聞いたことはなく、逆に『今この瞬間を楽しんでいる』というポジティブなオーラを感じます。
ぼくは『自分の時間』を取り戻したいという一心で、さまざまな時短テクニックを学び実践してきたつもりです。しかし、それで自分の時間を持つことができても、その状態に心から満足することができなかったのです。
それはいつも先のことばかり見て、目の前のことに意識が集中していなかったからだと思います。だからもっと欲しい、もっと欲しいと際限なく、自分が自由に使える時間だけを求め続けていたのです。
そのことに気づき『今この瞬間を楽しもう』と意識を変え、実践するようにしてから、いつも満たされることのなかった自分の時間が心からの喜びと感謝の時間になったのです。
さらに「時間はたっぷりある」と考え行動している人には、いつも余裕があります。恋愛でも余裕のある人の方がモテます。時間も全く一緒です。余裕のある人は時間にも好かれ、さらに余裕ができます。
時間はたっぷりとある。
いつも素敵な瞬間をありがとう。
そんなふうに時間へ愛と感謝を表明する。
時間がないとボヤくのではなく愛と感謝を伝える。
そうやって時間を大切にする人のもとには時間も喜び集まってくれるのです。
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